ニンフォマニアック Vol.1
愛することとセックスをすることが、前々からどうしても結びつかなかった。好きな人の体を触りたいという気持ちはわかるけど、体を触ることとセックスすることのあいだには、性欲という動物っぽい本能が自分にもあるってことを受け入れないと、できない気がする。だって、もし愛と性欲に関連があるのなら、愛についてこんなに話されているのと同じように、性欲についても話されるべきなのだ。でも… 性欲について話すのは、すごくむずかしい。
「ニンフォマニア」は日本語に訳すと色情症、つまり「女性の性欲が過剰に亢進した状態」で、この映画はその通りの女の人が過去を話す体で構成される。そこで語られる性欲についての語り口は大変にセンチメンタルで、とても真顔で聞いていられない。そんな僕たちを救ってくれるように、あらゆる性欲が川釣りの話やフィボナッチ数列で説明されていく。性欲を満たすためのセックスがあるベッドは、誰かが死んでいく病院のベッドでもあるということがわかってくる。この映画がほんとうに話したかったことは、性欲だけが話されないことでも、話されるべきことでもないって、ことなんじゃないかなぁ…。 #映画
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