劇場版 テレクラキャノンボール2013
この映画がもっと遠くに行けるとしたら、その可能性は旅の途中で出会うりんちゃんにあると思う。なぜいきなり北海道から東京へ行くことができるのか。なぜアダルトビデオに出演することが当然のように笑えるのか。なぜ出会ってすぐの知らない人とキスができるのか… でも、この映画はりんちゃんについて何も描くことができない。それどころか、旅の途中で出会うおじさんかおばさんかもわからないような人、幼少期に性的虐待された人、水商売に疲れて鬱になって辞めた人、あらゆるわからない人たちに出会っては、セックスという仕事として数十年つづけてきたよくわかるものに落とし込んでしまう。わたしたちにはメチャクチャなように思えるこの旅自体が、この人たちにとってはいままで何度もやってきたよくわかっていることなのだ。知らない人とセックスしても、うんこを食べても、なにをしても青春ごっことして終わらせてしまえることを、オッサンたちはよくわかっている。だから、よくわからないりんちゃんを映画に含めることができない。こんな映画、観なくていい。ノスタルジーに浸るオッサンどもに時間を割くほど、僕たちの青春は長くない。
星なし。 #映画
27