2014/12/09

人の笑顔が好きだ。それを撮るのも好きだ。
笑顔を残したいんじゃない、その人の違った表情を知っているから、それを思い出すためにあえて笑顔を残したくなる。

笑顔は感情を覆い隠してくれる。怒りや哀しみは、笑顔からうかがい知ることができない。
しかし、写真以外のその人を知っていれば、それを思い出すことができる。
喜びや楽しさに興じていない、別の生があることを知っているからだ。

写真は時間を切り取ってくれる。写真を見ると、切り取られなかった別の時間に思いを巡らせる。そうか、これは時間旅行の装置なんだ。そう確信させられたことがある。
写真は過去という現在へのコントラスト、お前は現在に生きているのだと自覚させられる。
写真は孤独を導いてくれる。楽しさと寂しさのブランコの中で、加速度に揺り動かされる感情を思い出させてくれる。
写真は自分をわがままな顧客に変える。好きだから撮るくせに、出来たものには満足しない。この人には、この絵には、もっと可能性があったんだと、心象世界を豊かにする。

人の笑顔が好きで、それを撮る。
笑顔の裏にあるたくさんの表情を思い出せば、明日の朝日が待ち遠しくなる。そんな砂粒のような幸せを知っているからだ。

43