最近みた展示の感想

現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展

ピエール・チェンっていう台湾の金持ちが集めてる現代美術作品の展覧会で、チェンさんの家の風呂とかに飾ってる絵を見ることができる。この展覧会のすごいところは、壁に書いてある解説文の上にゴシック体で書いてあるのが作品の美学的な観点からの説明で、下に明朝体で書いてあるのが現在美術のアートマーケットの観点からの説明がされているところ。マーク・ロスコと杉本博司とゲルハルト・リヒターの作品が同じ部屋に飾ってあるっていう非日常な空間も体験できるし、ほんとうは比べられないはずの美術作品の価値はどうやって決まっているのか、公立美術館とアートコレクターがそれぞれ担う役割とはなにかについてまで言及してあって、つまりこの展覧会を開くこと自体が、社会のなかでいま現代美術がどうあるのかということまでもを展示する構造になっていた。「展覧会を開く」という学芸員の仕事がすごく創造的なものだなって思えて、キュレーション=編集することってなんて可能性があるんだろうって思えて、すばらしかった。

絵画の在りか

最近の絵画業界の作品はこんな感じのものがありますよと紹介するような、カタログみたいな展示。天井の高い大きな空間をだいたい均等に割り振って、文脈もなくそれぞれがおもいおもいの作品を並べているのは、まるで美大の卒制展みたいな雰囲気だった。

工藤麻紀子さんの「彗星」って作品をすごく好きになって、しばらく動けなくなった。飾られていた作品はどれも手前に何かが描かれていて、奥に人のような生きものが立っている。そんな遠近感のある構図に、物語を感じられる仕組みがあるような気がした。

たよりない現実、この世界の在りか

仮設の工事用のような通路からおそるおそる降りていくと、ビジネスホテル風に内装を整えられた資生堂ギャラリーにたどりつく。あまりにもよくできているから、銀座っていう土地柄もあって、普段からこういうホテルを営業しているのかと思ってしまった。そういうふうに、これが本当なのか本当じゃないのかよくわからない時間を体験できて、おもしろかった。

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