小学5年生がリア充のピーク
わたるくんは絵を描くのが好きで、そしてとてもうまかった。
絵を描くのが好きで、だけど下手なわたしはそんな彼にあこがれ、すぐに好きになった。
ある日わたるくんが
「もんじゃという食べ物があるらしい」と言った。
学校の近くにお好み焼きやさんがあって、そこで食べられるんだと。
知らない味を知ることより、わたるくんが気になるものを知りたいと思った。
食べたい、と言ったら、行こう、と言ってくれて、その週の日曜日、お店の前で待ち合わせした。
これが私にとって人生初めてのデート。
なのにずっとソワソワしてた。
10歳のわたしの財布には、500円玉が一枚しか入っていなくて、もんじゃはプレーンのでも600円だった。
海老が入ったらもう、半分ずつ払っても、足りなかった。
「僕今日500円しかもってない」とわたるくんが言った。
「わたしも」と言って、2人でふふふと笑って、プレーンを頼んで食べた。
9