今橋愛っていう歌人が好きになった。
なにもかもがゆめみたいだねー
そうかゆめかそれでがてんがいった
わかった
っていう感じで(複数行にまたがったこれで一首)、575 の音数を無視して、もはや詩っていうか、ツイートに近い(音数を守ったやつもある)。
そこにいるときすこしさみしそうなとき
めをつむる。あまい。そこにいたとき。
漢字をひらがなにひらいた表現は、情報が少なくて、抽象的で、だれにでもあてはまるようなまるで星占いみたいなことばだ。2冊の歌集は電子書籍化されていて Kindle で読める し、最近出版された「桜前線開架宣言」っていう現代短歌を紹介する本でも触れられていて、そこでもいくつか代表作を読むことができる。
最初の歌集は2003年に出版されて、それから2006年にかけて短歌の専門誌や同人誌に発表していたみたいだけど、最近はあんまり活動されていないのかもしれない。調べてみると、2009年に「たんぽるぽる」の雪舟えまっていう歌人といっしょに Snell っていう同人誌を出していたらしい。さらに、その同人誌では小説も発表していたらしい。こんな短歌?詩?を書く人が、どんな小説を書くんだろう。当時は、神保町の東京堂書店という新刊書店に置かせてもらっていたとのこと。絶対残ってないと思うけど… でも、きょう神保町に行く機会があったので、「東京堂書店」に寄ってみた。
行ってみると、めっちゃふつうのきれいめな本屋で、もちろん Snell はなかった。なんとなく短歌の棚に行ってみると、短歌ヴァーサスっていう、10年前の短歌の専門誌のバックナンバーが結構揃っていて、2006年の号を手に取ると今橋愛さんの短歌が載っていた。
アンアンの星占いで れんあいのところを見なくてすむの うれしい
よく見ると、プロフィールの名前の下に www.aaaperson.jp と URL が載っていた。ホームページがあったのかなと思ってアクセスしてみると当然もうなくなっていて、Internet Archive で当時のキャッシュデータを調べると teacup みたいな掲示板が表示された。
そこでは寒いねーみたいな会話がされていて、10年越しにきょうも寒かったけど。
この話はこれで終わりです。いま思ったけど、今橋愛さんに Snell まだ残ってませんかってメールを送ったらいいのかもしれない。